2015.08.06
👉 雑損控除の方法
FPの勉強をしていると、タックスの所得税の分野で、「雑損控除」という用語が出てきます。テストにあまり出てこないからか、そんなに詳しく説明が載っていないように思います。しかし、近年、異常気象で台風や大雨等の被害が多く見受けられ、意外と身近で、いざとなれば使える控除です。
「雑損控除」の対象は、自然現象の異変による災害(震災、風水害、冷害、雪害、落雷など)、人為による異常な災害(火災、火薬類の爆発など)、生物による異常な災害(害虫など)、盗難、横領などにより生活用資産などに受けた被害です。なお、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。オレオレ詐欺などでうっかり振込んでしまったお金は、対象外となります。
対象となる生活用資産は、「納税者」または「納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が38万円以下の者」の生活に通常必要な住宅、家具、衣類などです。(事業用の資産や別荘、書画、骨とう、貴金属等で1個又は1組の価額が30万円を超えるものなどは対象外。)
次に、控除できる金額ですが、以下の(1)(2)のうちいずれか多い方の金額となります。
(1) (差引損失額)-(総所得金額等)×10%
(2) (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
もし、損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。なお、雑損控除は他の所得控除より優先的に控除することとなっています。
上の式での「差引損失額」は、次の算式で求めます。
差引損失額=①損害金額+②災害関連支出の金額-③保険金などにより補てんされる金額
①損害金額・・・損害を受けた時の直前におけるその資産の時価を基にして計算した損害の額
②災害関連支出の金額・・・災害により滅失した住宅、家財などを取壊し又は除去するために支出した金額など
③保険金などにより補てんされる金額・・・災害などに関して受け取った保険金や損害賠償金などの金額
雑損控除を受けるためには、確定申告が必要になります。確定申告書に雑損控除に関する事項を記入し、災害関連支出の金額の領収を証する書類を添付するか、提示します。また、給与所得のある方は、このほかに給与所得の源泉徴収票(原本)を申告書に添付する必要があります。
なお、東日本大震災により被害を受けた住宅や家財、車両の損失額の計算は、震災特例法がありますので、国税庁の「東日本大震災により被害を受けた場合等の税金の取扱いについて」をご覧ください。